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2017年7月21日 (金)

中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク

読了。
ゲーマーにとっつきやすい形で様々な「RPG世界の庶民の職業」を紹介するムック。
オウガバトルシリーズを意識したセピア風(むしろミュシャ風?)のビジュアルで統一され、全編にお洒落な雰囲気が漂う。
RPGをプレイする者は「こんな職業があってもいいんじゃないかな」と一度は「俺の考えたすごい職業」に思いを馳せる筈。
俺も、投げ縄で通りすがりにクリティカルヒットを繰り出す「カウボーイ」とか、巨大な縫い針で敵の手足を胴体に縫い付けてしまう「お針子」とかを自作のTRPGシステムに導入しようと企んだことがある(断念したが)。
みなさんもあるでしょ?
この本はそんなノリで、但し文献を当たり実際にあった中世ヨーロッパの職業を「ゲームのユニットに落とし込んだらどうなるか」というスタンスで突き詰めた一冊。
妄想を具体的な形にすることのなんと素晴らしいことか。
RPGを妄想を逞しくしながらプレイしている人なら誰もが羨むであろうたいへんな力作で、通して読むとそれなりの時間がかかる。
これを読んだ後でCRPGをプレイすれば、「ここはたびだちのむらです」とか「ぶきはそうびしないとだめなんだ」とか言っている人々が普段はどんな職業で働きどんな生活をしているかを妄想する手助けとなり、ますます楽しくなるのではないだろうか。

一迅社WEBの該当ページ
http://www.ichijinsha.co.jp/special/zerosum/hellowork/

2017年7月 1日 (土)

【小説】ベルセルク 炎竜の騎士

読了。
ベルセルク初の小説。
グリフィス率いる新生・鷹の団のパワーファイター・グルンベルトを主人公にしたスピンオフで、若き日の彼が如何に使徒になったかを描いている。
作家は三浦建太郎ではないが、構想はあったのだろう。
三浦建太郎本人が時間さえあれば漫画で描きたかったであろうノリで、クオリティに遜色はない。
こういうエピソードは本編の行間を埋めるもので、もしベルセルクが休載期間のない漫画だったら、本編の骨休めとして章と章の間にあってもいいのだが、御存知のとおり休載に次ぐ休載で本編でさえ遅々として進まない状況にあっては小説化は次善の策。
きっとアーヴァインやロクスなど他の使徒もスピンオフ小説となるのだろうし、大いに喜びたい。
さてグルンベルド。
ベルセルク本編ではクロコダインや(幽遊白書の)剛鬼に代表される「バトル漫画の一番手のパワー系」として派手にやられてくれたし、その時の口調は古風なラオウっぽいものだったが、若い頃はむしろ純朴な少年〜青年。
それでも使徒に転生するということは心に空隙があるわけで、グルンベルドの場合、それは面倒なことがあったら戦いの中に逃げるというものだが、現代でも取り敢えず体を動かして頭を空っぽにする人は多いことを思うと、さほど大きな落ち度でもない。
それを堕とすのが陰謀というもので、子供や若者を食い物にする大人が如何に汚くて狡猾かに頁を割かれているから、ベヘリットが血の涙を流すに至る展開も無理なくスムーズだ。
まぁ、それだけに楽しみながらも読むのが辛い部分も。
グルンベルドを中心とする若者達の恋と友情が本編で言う「黄金時代」を思わせるだけに、迫り来る破滅の影がなんとも重苦しい。
戦闘描写も迫力だ。
舞台となるグラント大公国はチューダーやクシャーンほど悪辣ではないが、度重なる戦乱で兵の心は荒みきっている。
ミッドランドのようにエンジョイアンドエキサイティング行為は「恥部」とされる国もあるもののあれは例外で、どの国も多少の乱暴狼藉は当たり前なのだろう。
そんな戦乱の中でグルンベルドの鉄槌は容赦なく敵兵を肉塊にし何とも痛快。
ベルセルクは北斗の拳の影響も多分に受けていて、時々、嬉しくなることがある。
(グリフィス救出の際に戦場において呼吸を見切られることは云々と御高説を垂れた馬鹿な士官の一連の台詞など白眉だ)
人間のクズには笑える滑稽な死に方をしてほしいし、クズのような死体になってほしいと考えるのは自然な感情だが、その欲求を大いに満たしてくれるのだ。
…まぁ、ラストはもうちょっとネチネチやってほしかったかな。
小便や鼻水でも流しながら情けなく命乞いしてほしかった。

白泉社公式サイトの該当ページ
http://www.hakusensha.co.jp/comicslist/49595/

2017年6月10日 (土)

トンネルズ&トロールズ・アンソロジー「ミッション:インプポッシブル」

古典TRPG「T&T」のアンソロジー。
古典とはいえ第7版である「完全版」が邦訳されたばかりだから、タイミングとしてはちょうどいいのだろう。
俺はT&Tはろくにやっていない。
D&D、RtoL、トラベラー、AFFあたりが主戦場だったから、そっちまで手を出す余裕がなかったのだ。
でも何故かルールブックとソロアドベンチャーは殆ど持ってたりする。
文庫版は安いからつい買っちゃうんだよねw
だからT&T自体に特に愛着があるわけではないんだが、TRPG小説というジャンルにはひとかたならぬ愛着があるつもりなんで、こういうのが出るとフラフラと読んでしまうわけだ。
TRPG小説は一般的なファンタジーと何処が違うのか。
もちろん背景世界がTRPGのものと同じなのがTRPG小説ではある。
しかし、それより何より、キャラクターがその世界の時代の寵児たる英雄ではなく、英雄達の陰で密かに活躍している隠れた英雄というか二線級の英雄なり冒険者を描く地味なファンタジーという側面が大きい。
ヒロインがお姫様なのがファンタジー小説、ヒロインがお姫様お付きの侍女なのがTRPG小説と考えれば大凡、間違ってはいない(本当か!?)
一般的なTRPGにおいては全ての人間はプレイヤーキャラクター(pc)と同じ成長ルールで成長していき、だからPCも一般人の延長線上で特別な存在でもなんでもないのだ。
…それが面白いのかって?
いやいや、これが意外と面白いんですよ。
気宇壮大なヒーローでないということは、生活したり金を稼いだり旅に出たりその途中のトラブルに対処したりは、他の一般市民と同じように行わなければならないということで、その世界の庶民目線で世界が描かれるということ。
魔物の群れを突破するばかりでなく、場合によっては魔物に賄賂を渡したりこっそり通り過ぎたりを画策する。
魔物がいるのが当たり前の世界で魔物に対抗する力を持たない庶民はどう暮らしているのか。
そりゃあ主人公達は庶民レベルよりはずっと強いにしても、そこが想像できる程度に描かれてこそ、架空世界の没入感も深まる。
そんなスタンスで描かれた冒険譚が多いジャンルなんで、王道に飽きた人にはピッタリなわけです。
本短編集もブラッディでバイオレンスな世界でしたたかに生きる漂泊の冒険者達の活躍がたんまり
、そうと思えば本物の英雄もいたりするんでメリハリも効いてます。
ジャンル的に異色作が多いんで、ファンタジー小説初挑戦の人向けではないですけどね。

アトリエサード公式サイトの該当ページ
http://athird.cart.fc2.com/ca9/194/p-r7-s/

2017年5月21日 (日)

ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌

高校生カップルを主人公にしたスピンオフ。
本編「ビブリア古書堂」シリーズがラノベっぽさを極力、排除しているのに対して、逆にラノベっぽさを積極的に取り入れているので、本編シリーズを「ラノベっぽくないところがいい」と思っている人には合わないかも知れない。
知れないのだが、この文体や作風はラノベ好きを隠して一般人のふりをして生きる主人公・前河くんの心境とシンクロさせるためのもの。
「俺妹」序盤同様のサブカル趣味をどう周囲に受け容れられてもらうか(もらわないか)が物語の主題だ。
よって次々と新しい女の子が登場するのもラノベ世界をメタ的に扱うのが目的であって、決してハーレムを楽しみたいのではない。…筈だw
…正直、ビブリアファイトを盛り上げるなら、男のクラスメートが2人くらいいた方がぐっと面白くなったと思うんだけどね。
本の面白さをプレゼンして、聴衆の反応で勝敗を決めるビブリアファイト。
本の内容と向き合い何が面白かったのか理解した上で熱く語らないと勝利は覚束ないわけで、それには複数の読書傾向を持つ仲間がいた方がいい筈なんだけど、登場人物の数を整理したことでまとまっているといい方向に考えたい。
主人公カップル、前河くんとこぐちさんを取り巻くドラマが、題材となっている本の内容とフィットしているのは本編どおり。
個人的には、2番目の対戦相手であるTRPG同好会の会長・双葉先輩が「甲賀忍法帖」をどちらが勝つか分からないところが面白いとプレゼンする件が、まさにこっちもどっちにも勝ってほしくて困るのとメタ構造になってるのが唸らされた。
…まあ、わたしがTRPG贔屓ってのもあるんですけど、それを差し引いてもw
ただ…前河くんが新しい女の子が登場する度に、いちいちその子の身体のラインについて内心で説明するのはやめてほしかったなぁ。
まぁ、前述のとおり確信犯(誤用)的にラノベっぽくしてるが故なんだろうけどさ(だよね?)
ビブリアファイトが栞子さん頼りばかりじゃないのも好感が持てた。

電撃文庫公式サイトの該当ページ
http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892755-0/

2017年5月17日 (水)

木星買います

読了。
って、20年以上前にとっくに読了してたと思ってたら、実は読了してなかったんで読了。
まあそれでも多分、収録作品の8割くらいは読んでるだろうとなんとなく思い込んでいたアシモフの短編集。
そしたら収録作品のうち半分以上は読んでなかったです。
読んで忘れてるだけかも知れませんが。
みなさんも何度も読んでる筈の短編集を試しに最初から読んでみるといいです。
意外と未読短編を発掘するかも。
で、わたくしちょっと考えました。
なんで未読が多いのかを。
SFってディティールが命ですよね。
物語ってのはディティールよりフォルムだと思ってます。
いつもなら。
だがSFだとある程度は例外となる。
だってディティールのないSFはファンタジーと変わらないじゃないですか。
ディティールこそSFの命です。
で、その作品毎のディティール、即ち特殊な設定を覚えても、長編なら1冊まるごと楽しめるのに、短編だとそれっきりだ。
それもあって、短編1編が数頁として数頁毎に新たな設定や登場人物を覚えるのが億劫になって、つい収録作品のうちでも食いつきの良さそうなものばかり読んでいたのでしょう。
しかし敬遠していた短編も読んでみたら…やはりアシモフは面白い。
SFだからディティールはどんどん古くなる。
だからディティールに頼らない作劇をした方が時代を超えた娯楽性を持ち得る。
でもそうするとSFから離れていってしまう。
それはそれで楽しいものだし、藤子F作品も星新一作品もその方法論を推し進めた天下一品の名作揃いだ。
そういう中にあって何れ古びてしまうディティールを盛り込みつつ、そのディティールを受け容れられなくても寓話として楽しめるよう書かれているアシモフ作品からは、自分の死後も楽しませたい読ませたいという強烈な意思を感じるのでありました。
はい、楽しんでますよ。天国のアシモフ先生w

2017年5月13日 (土)

いなくなれ、群青

読了。
知らぬ間に何処かから拐われてきて絶海の孤島でなに不自由しない生活を送る高校生達。
しかし島から脱出しようとしているのは幼馴染の女の子のみ。
その彼女の行動と存在は周囲に波及し…。
この物語の世界は天国か何処かだと思っていた。
だから世界の謎を解こうとも知りたいとも思わなかった。
そういう意味で外の世界に出て行こうとしないシラけた主人公達とのシンクロ率は高い。
そんな世界にあってヒロインの真辺由宇は浮いているという設定だが、浮いてるとか浮いてないとか以前に、彼女だけが現実感のある人間で、他の人物達は作り物めいて見える。
それを「よくできている」「世界設定との矛盾がない」と褒め称えていいものかどうか…。
退屈なんだかわざとなんだか終盤まで分からなかった。
そう言えば、途中までジャンルがミステリに分類されていることを知らなかった。
もし知っていたらがっかりしていただろうからこれはこれでいいだろう。
逆にシリーズものの1作目であることを最後まで知らなかったのはよくなかった。
終盤に近づくにつれて、え?これで終わりなの?という気持ちが高まっていき、感動どころではなかったから。
好きな終わり方なんだけどね。
これは私小説なんだろうと思う。
世界が愛し合う2人のためだけに存在している、それをクールぶった若者が淡々と無感動を装って語っていく。
格好をつけたつもりで感情を隠すのはとても格好悪いと思うんだけど、それも含めて自我が肥大した10代なんだろう。

新潮文庫公式サイト該当ページ
http://www.shinchosha.co.jp/book/180004/

2017年5月 6日 (土)

幻の未発売ゲームを追え!今明かされる発売中止の謎

読了。
タイトル通りの本なんですが、ゲーム雑誌やゲームの本を読む習慣をなくして久しいので、その感覚を取り戻した感じで、その意味でも楽しく読めた。
セガ系のゲームが多く、BEメガ、サタマガ、ドリマガを隅々まで読んできた俺にとっては馴染みのタイトルが多いというのを差し引いても、これら出なかったゲームをやってみたいと思わせてくれました。
中でもメガCD版の999はBEメガを愛読してた頃は全く期待していなかったのに、制作スタッフの熱い松本作品愛あふれるトークを聞いてると楽しそうに思えてくる。
やはり生の声を聞くというのは大切なことなんだな、と実感させられます。
前に読んだポケモン開発の本で、あのポケモンでさえ最初は開発資金を得るために他の仕事を優先せざるを得ず開発は何度も中断したことを思うと、この本で紹介されている開発難航のエピソードに対して責める気持ちは起きません。
ゲームは完成させてこそだ、なんてことは言われるまでもなく分かっている人たちの苦渋の決断が、むしろ伝わってくる。
世の中、いいかげんに作られたゲームは山ほどあります。つまらないゲームもたくさんある。
しかし、いいゲームを作ろうとしたがつまらなくなってしまったゲームについては悪く思えないでいました。
これからはいいゲームを作ろうとしたが完成しなかったゲームにも優しい気持ちになれそうです。

Amazonの該当ページ
https://www.amazon.co.jp/幻の未発売ゲームを追え-~今明かされる発売中止の謎~-天野譲二/dp/4198643806
(なんと徳間書店公式サイトにページがないのです)

2017年4月27日 (木)

君の名は。 Another side:Earthbound

これは面白かった。
映画本編に忠実なノベライズは新海誠監督が自ら書いててそれもいいのですが、単純に餅は餅屋ということで、小説としての面白さはこっちの方がずっと好みです。
まぁ、本編あっての番外編ですから、あくまでその功績は新海監督に帰するわけですけどね。
イージーリーディングな本編ノベライズに対して、小説を読む時に求めている重層的な情報量が込められています。
サブキャラクターの目から見た糸森町のあの事件。
チュンソフトの「街」や「428」のように、同じ場面を別人物の視点から見ることで世界への愛着が深まる上に、事件の背景が深く掘り下げられています。
で、「街」を想像した、ってのは、ほら「街」の最終シナリオは「花火」だから。
父に反発する高峰隆士の物語を息子に対して素直になれない高峰厚士の立場から描いたあのシナリオ同様に、三葉の父・俊樹の亡き妻への想いは心を打ちます。
1冊の本としてまとまりがあるかとか、この本だけで成立しているかというと答えはNoで、映画の感動を増すための補足に特化しているんだけど、その命題をこれだけ高レベルでやられると、これはもう必読と言ってもいいんじゃないでしょうか。

KADOKAWA公式サイト該当ページ
http://www.kadokawa.co.jp/product/321604000316/

ところで小説の出来とは全く関係ないのだが、作者が別ということで書店の棚で「君の名は。」の隣に並んでいないことが多いのは残念だ。
新海誠コーナーが作ってあって彼の小説は全て並んでいるのに…。
これは何とかしてほしいものだ。

2017年4月17日 (月)

ビブリア古書堂の事件手帖7〜栞子さんと果てない舞台〜

これは傑作!
最終巻。
読後感がよくなかった前巻が嘘のように天網恢々疎にして漏らさず。
単独の巻としても面白く、シリーズを通した謎にも納得の行く結末が用意される興奮の一冊だ。
そもそも前巻の読後感が悪かったのは、シリーズ終盤になって久我山尚大という巨悪の故人の名前が浮上して来て、彼を取り巻く人間模様も後付けのように感じたから。
正直な話、栞子の母であり古書販売業版海原雄山とでも言うべき怪物、智恵子が家族を捨ててまで追い求めている一冊、というのも、実は深く考えてなくて後付けなんじゃないかと高を括っていた。
そしたら然に非ず!
いや、最初から考えていようが後付けだろうが関係ない!
例えばものすごい価値の珍しい古本が出てきても、それだけだったら物足りなさが残ったことだろう。
ふーん。そんな本があったのか。勉強になったよ。程度の知的好奇心を満たせたというクールな反応だったろう。
だが俺は興奮している。
ロジックと感情の両輪が見事なハーモニーを奏でた時、俺の快楽中枢は激しく擽られたのである。
俺、こういうのに弱いのよ。
もしかしたら前作の唐突な陰鬱さも、このための仕込みだったのかも知れない。
…まぁ、流石に考えすぎだろうけど。
思えばこのシリーズを読んできて幾度か
…たかが本のことで?
そう思うことは多かった。
俺自身、書痴の端くれとは言え、文学館にも文学碑にも全く興味がない即物的な人間なので、書かれている物語自体でなら十分すぎるくらいあり得る「人生そのものへの影響」が、初版がどうだ装丁がどうだと言った「枝葉」でも起こり得るというのは嘘くさく感じられたのだ。
だが一方でその問いに対する答えも俺は分かっていた。
本を読むということは体験で、
体験は人を縛り動かす、
その体験が本というマテリアルと結びついているとしたら…?
そういう着地点だろうとうすうす分かっていて、そのとおりだったことがこれほどに嬉しいとは!
まさに書痴のみなさんに捧げられている本である。

公式サイト
http://biblia.jp/works/

2017年3月29日 (水)

小説 君の名は。

読了。
映画を既に観ていることが前提なのはノベライズの特性だけど、この物語の場合、一人称×2だけでも結構なボリュームになるから、それ以外の部分がどうしても駆け足に。
映像なら一目で済むところが長々と描写されることも手伝って、かなりデコボコとタイミングの合っていない緩急だ。
ゲームで言えばザッピングに当たる視点の切り替えもわかりづらくて、そこで止まるからテンポも思ったほどよくない。
だから、これは2人の内面を知る副読本のようなものだ。
瀧くんの周辺人物の比重が大きくて、逆に三葉の周辺が軽めなものだから、テッシーやサヤちんに感情移入する前にあの日がやってきてあれよあれよという感じ。
しかし、そこからは展開が加速。
臨場感という点で「あの日」周辺が最も面白い。
具体的な解決方法が省略されてるのは気になるけど、どう思ってどう決断するかが大切という考えで書かれてるんだろうな。
もう1冊、姉妹編があるようだから続けて読むけど、やっぱりこの1冊じゃ書き足りなかったんだと思う。

角川文庫公式サイト該当ページ
http://shoten.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=321603000121