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2017年9月23日 (土)

武器

棍棒から刀槍、銃器を経て核ミサイルまで。
マール社「武器」を読了した。
30年くらい前に買って何度も読んでるんだけど、この手の本の例に漏れず頭から順に読破しようとすると途中で飽きてしまう。
ましてや購入当時はファンタジーTRPGにどっぷりハマっていた頃。
近代兵器のページにはあまり興味が湧かず、剣や槍や弓矢の種類ばかり食い入るように読んでいたから、今回の通読で(初読ではないにせよ)こんなこと書いてたのか!という驚きがかなりあった。
TRPGにしろCRPGにしろ、武器は棍棒から鋼の剣まで、スペックオンリーで一緒くたに並べられ、そのゲーム世界内での地域や時代毎の位置づけまではされていない。
もちろん、それはそれとして構わないし、地理や歴史を反映させた配置にしろとまでは思わないんだけど、本当はどうなのか知った上でだと、架空世界に対する妄想もより豊かなものになるし、何より技術が武器に、武器が技術に、戦術が武器に、武器が戦術に影響を与える流れを知る楽しさはゲームでは得られない。
まあ、読んだ内容のかなりを忘れちゃうんだけど、これは常備しておく本なんでね。

マール社公式サイトの該当ページ
http://www.maar.com/shop/visual/武器

2017年9月19日 (火)

泣けるいきもの図鑑

ヒット作「ざんねんないきもの事典」シリーズですっかりファンになってしまった今泉忠明の動物本。
出版社が変わってもノリは全く変わりません。
前述の「ざんねん」もそうでしたが、この「泣ける」もあくまで耳目を引き付けるための方便。
リアルと親しみ易さのバランスがちょうどいいイラストもそのままで、実質的な続編と言えるでしょう。
ただ、動物が絶滅に至る過程や各種感動エピソードなどがあるので「泣ける」が過大広告ということもないです。
動物の絶滅は人間のせいであることも多い。
なぜ絶滅する寸前まで分からないのか。
これは難しい問題です。
現代の我々でさえ、行き先は分かっているのに手をこまねいて鰻を絶滅に追いやろうとしていますから、昔の人は馬鹿だったなどと言えた義理ではない。
人の欲望には限りがない。
その一方で、動物愛護の人々には鼻持ちならない選民思想的な奴も少なくなく、世間からまともに話を聞いてもらえないというのもある。
動物を理由にして威張り合うのが人間です。
でも他の動物に感情移入するのも人間です。
わたしのこの考えが正しいというつもりはありませんが、こういう本を読んだ時にはいつも考えさせられるのです。

学研出版サイトの該当ページ
http://hon.gakken.jp/book/1020463000

2017年9月17日 (日)

-犯罪王メスリーヌ自伝-生きては捕まらない

読了。
銀行強盗と誘拐と脱獄に彩られた犯罪王ジャック・メスリーヌの自伝。
この人、写真を見るにきっとルパンIII世の元ネタと言うかイメージソースの一つなんじゃないか。
CCさくらのクロー・リードの元ネタのクロウリーが悪辣なカルト教祖であるように、実態はかなり碌でもないけどね。
あまり何度も脱獄するものだから他の囚人とも接触できずぶち込まれた独房で空いた時間にせっせと執筆。
まだばれていなかった犯罪についてまで事細かに書いていて、裁判で不利になるのでは?と誰もが思うのは当然で、これについて彼の担当弁護士は彼なりの社会への怒りであり攻撃であるためではと分析しているけど…まぁ、それも有るど、むしろ警察を茶化すのが楽しくてたまらないんじゃないか。
こういうのを書くこと自体が挑発だし、投獄という脅しが全く効かないほど開き直ってしまっていることが赤裸々に語られているからね。
日本にも何度も脱獄している脱獄王はいるが、彼等はこっそり隠れ潜んでいる。
しかし、こいつの場合、脱獄して直ぐに銀行強盗を繰り返している。
大金がないと逃亡生活は不可能と嘯いているし、危険を愛する男と自惚れているけど、それより何より警察に代表される社会への敵意がそれをさせているんだろう。
かと言って頭のネジが外れているわけでもなく、犯罪計画は極めて冷静。
この意外性に惹かれて楽しく読めました。

Amazon該当ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4150503591

2017年9月11日 (月)

コイルズ

読了。
本棚に眠っていたゼラズニイのSF。
思春期に何冊か読んで、特に「ディルヴィシュ」はムアコック作品のヒロイックな部分を更に突き詰めたようなダークヒーローでお気に入りだったんだけど、本作のドナルドはそれに加えて電脳空間を自由に旅し自由に操る能力もあり、異様に頼もしい。
セイバーヘーゲンとの共作だが、頭脳戦闘はゼラズニイが、肉体戦闘はセイバーヘーゲンが担当したのではないか。
はじめのうちは頭脳派と思っていたら肉体的にも凄まじい。
執筆された1982年という年代を思うと、寺沢武一「ゴクウ」の元ネタかも知れない。
まぁ、コンピューターネットワークが実現し得る未来が具体的に想像でき始めた頃だから、どうしても似てしまうのは仕方ない。
そのコンピュータ関連描写は、今のハリウッド映画で相棒やチームの一員のスーパーハッカーがやってることの先駆けだ。
では、今になって読む価値はないのかと言えばそんなことはない。
特筆すべきは、現実世界と電脳世界を、現在と過去の回想を、行ったり来たりするにも関わらず、全く混乱しないということだ。
これはこの手の作品ではとても珍しいことで、如何にエピソードの配置が上手いかの証明となっている。
そして、それは主人公がどんなに電脳世界で狂人が見るような光景を見せられても正気を保つことの何よりの説得力となっている。

2017年9月 8日 (金)

3Dゲームファンのためのグラフィックス講座

読了。
今さらながらに読了。
何が「今さら」かと言うと、初版が2010年12月ということで、この本で扱われている技術は最先端ではないのだろう、という意味で。
しかし「だろう」なんて言ってしまうレベルの自分にとってはとても興味深かった。
この本の作者である西川善司さんはゲームの3Dグラフィックについて一家言あるライターだ。
詳しい人の話は分からないことも多いなりに面白く、彼のブログは愛読している。
とは言え、あまりに分からないことだらけというのも癪なので、基本的なことくらいは押さえておこうということで読んでみました。
3Dゲームは何処でも行けるから、ビジュアルは原則として自動生成されなければならないということで、光源はここにあるから影はこうできるとか、光を浴びたもの自体も光を放つとか、影にも薄い濃いがあるとか。それをゲームタイトル毎に章立てして、使われている技術のオンオフでこのような違いがあるという比較写真がたくさん載っております。
ただ、印刷物の限界ですかね。
違いがハッキリと分からないものも少なくないし、違いが分かっても「これ、ゲーム中に気になるかなぁ…」とピンと来ないものも。
紹介されている10タイトルはメジャーなものばかりですが、やったことのあるのが殆どなくて、プレイ体験のあるなしではこの本の理解のし易さが違うのだろうと思います。
わたくし、そもそもゲームの写実的グラフィックを突き詰めていくことにはそこまで価値を見出していません。
状況を的確に判断できて的確な介入ができればそれでいい。
例えば横スクロールシューティングの背景とオブジェクトの関係は「リアルじゃない」けど、ゲームシステムとして最適解です。
でも、ゲームに限らず専門家の専門トークは好きなんですね。
そういう意味ではこの本は面白かったし、ゲームに写実的グラフィックを追求する人達の文化が理解できたような気がしました。

インプレスブックス公式サイトの該当ページ
http://book.impress.co.jp/books/2951

2017年9月 2日 (土)

カリフォルニアの炎

竜頭蛇尾。
とは言え全長の9割が竜なのだ。
だから読後感にあまりガッカリがない。
なんで?こうなったんだ?という気持ちの方が強い。
この作品を貶したくない悪く思いたくないという気持ちに突き動かされるほどに、俺はこの本が好きなのだ。
終盤以外は。
凄腕で正義感が強く気持ちのいい火災保険調査員ジャック・ウェイド。
しかし、それ故に罠に落ちる。
ランバ・ラルは「正確な射撃はそれ故に予測し易い」と言ったが、それを敷衍すると優秀すぎて逆に便利な駒として動かされると言ったところだろうか。
この追い詰めたつもりが追い詰められる件は説得力があり劇中で最も手に汗を握る緻密なストーリーテリングと言えよう。
だが終盤でいきなり敵の規模が大きくなり手に負えなくなる。
荒い。
それまでの展開がどんなに荒くても無理やり起動修正させられる類の力技だ。
そんな必要もないのに。
荒い展開を荒く軌道修正している作品ならただ呆れればいい。
しかし緻密な展開をわざわざ荒く軌道を変える理由は?
思えばウィンズロウ作品にはこういう傾向がある。
大好きなニール・ケアリーの2作目も、個人は国家には絶対に勝てないという作者の確固たる意思があって、それがカタルシスを欠いていた。
作者自身が調査会社の調査員ということから来るリアリティを重視する作風故なのか、この人のミステリは中くらいの規模の悪党を退治する時に最も筆が冴え渡るように思う。

カドカワオンラインの該当ページ
http://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g200006000146/

2017年8月19日 (土)

ぼくはこうして動物に襲われた~あんなに優しい目をしていたのに~

読了。
Twitterで勧められてて面白そうだったので。
うーん、ちょっとタイトル負けかな。
タイトルに釣られた自分が悪いんだけどね。
グリーンピースとかシーシェパードとか嫌いな人は多いでしょう。
あそこまで行かなくても動物愛が高じるあまりそうでない人を見下したり人間社会を憎んでたり。そういう奴はろくなもんじゃない。
そういう連中が人類最良の友の筈の動物に裏切られて襲われショックを受けているといった感じのタイトル。
そんな浅はかなエピソードを見てざまあみろと溜飲を下げたいという我ながら下品な感情あって読み始めたものだから、そういうエピソードは(なくはないけど)あまりなくて普通に動物事故を紹介して注意を喚起する内容だったことに(勝手に期待したくせに)勝手に物足りなく思っているのでした。
ただ、わたしのような下品な期待を抱かなければ写真も豊富、写真がなければ写実的なイラストも豊富で、楽しく読めるのではないでしょうか。
対象年齢は低め。
「タイピスト」に説明が必要な年齢層を想定してるんだろうなぁ…。

株)カンゼン公式サイト該当ページ
http://www.kanzen.jp/book/b201269.html

2017年8月17日 (木)

おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典

読了。
前巻に引き続き面白かったです。
進化とは結果として生き残った変化だから進化になっただけ。
よって「ざんねん」な部分があるのは当たり前。
そう巻頭で示した上で色々と列挙してあります。
動物の研究も日進月歩。
知識の更新ができていなかったネタもポツポツありました。
サーベルタイガーの滅んだ理由って、俺の子供の頃に言われてたのとは今は違うのね…。
収録ネタには絶滅した動物も含めてるので、彼等と生き残っている動物では何が違うのか比べて考えることもできて楽しい。
ただ…ネタが尽きてきたということはないと思うんで、後の巻で取っておこうとしてるんだろうけど、ざんねんというには無理があるただの短所もチラホラ。
例えば帯に書いてある「虎は狩りが下手」なんてのは単に狩りのスペックが低いだけの話に思える。
続刊(出るよね?)では出し惜しみしないようにお願いしたいです。

高橋書店公式サイトの該当ページ
http://www.honyaclub.com/shop/g/g18693360/

2017年8月 8日 (火)

おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典

読了。
動物の変わった特徴を紹介する本。
まぁ、既に広く知られているものも多いのだが、簡潔にまとまっていてやや皮肉っぽく、そして何より親しみやすさとリアルさが共存している絵が魅力的でとても読みやすい。
この絵を描いてるの、あずまきよひこかな?と思ったけど違う人でした。
さて「ざんねんな」と形容するのは本来なら軽薄な感じがして好きじゃない。
身も蓋もなく欠点として指摘した方がスッキリしていいくらいだ。
だが明確な欠点と単に価値観が違うだけで当の動物は困っていないものは明確に違うし、明確な欠点であっても長所とのトレードオフであれば致し方ない。
それらを全て包括してオブラートに包んだ言い回しが「ざんねん」なのだろう。
テキストからは物見雄山な感じは伺えないから、あくまで目を引くためのタイトルなのだと思う。
そして進化について考えてもらおうという試み。
うんちを食べる動物、例えば兎なども、食べる用のうんちと食べない用のうんちがあるということだが、それは兎からすれば「(前者は)たまたま肛門から出るだけでうんちの範疇ではない」のかも知れない。
親鳥が口で柔らかく噛んでから小鳥に与えるのと何が違うのか、一つの機関を2つ以上の目的で使うのは動物の世界では珍しいことではないじゃないか、と兎は抗議するかも知れない。
人間だって空気が通るトンネルと食べ物が通るトンネルは共用なのだ。
ざんねんであることは進化してきたこと、厳しい生存競争に勝ち抜いてきたことの証なのだろう。

高橋書店公式サイト該当ページ
http://www.takahashishoten.co.jp/zannen/

2017年8月 6日 (日)

エルフとレーブンのふしぎな冒険 6巻 ついに決戦!さいごの洞くつ

…雑だなあ。
最終巻まで読んできて、こんな感想を抱きたくなかったよ。
レーブンが「翼のある少年」だったなんて、最終巻になっていきなり言われても困る。
少し前の巻でも、ヒロインの「エルフ」が、それまで妖精のように綺麗だからエルフという綽名で呼ばれるもののれっきとした人間の女の子という設定だった筈が、実際にエルフ族であるかのように言われてて混乱したものだが、同様にそれまで人間の男の子としてしか描かれてなかったレーブン(大鴉)が本当に大鴉だったとでも言いたげな描写には今まで思い浮かべていたイメージは何だったのか、と。
少なくとも日本版のイラストは普通の人間の男の子にしか見えないじゃないか。
この点に代表されるようにいちいち説明不足描写不足で、最初は御都合主義に思えた展開が単に語るべきことを語ってないから唐突に思えるのでは?と考え出す。
なんでこういう展開になるんだろうというメタなツッコミばかりしてしまって、ストーリーを素直に楽しめませんでした。
「大切なのはフォルムであってディティールは二の次」を旨とするわたしですが、ファンタジーで最低限のディティールがないのは問題だと思うのです。
シリーズ構成にも難が。
敵・ゴブリンキングの本拠地で離れ離れになる旅の仲間達。
でも、ずっと2人と1匹で旅してきたのに4~5巻で一気に6人も増えた仲間には全く愛着が湧かなくて、それぞれのピンチも盛り上がらないことこの上ない。
能天気なノリが好きで読み続けてきましたし、ここ数巻はラストに向けて盛り上がるかと思っていましたが、これはちょっと…。

学研公式サイトの該当ページ
http://hon.gakken.jp/book/1020451400