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映画 Feed

2017年9月10日 (日)

ダンケルク

凄い映画だ。
史実の再現に拘り娯楽として成立させるための構成ということをやっていない。
だから面白い映画かと聞かれたら面白くはないと答えるしかない。
しかし凄い映画だ。
史上最大の撤退作戦を描くには状況が絶望的であり更にジワジワと悪化していく描写の迫真性が必須だ。
史実から言って勝利によるカタルシスは得られないのだから、助かったことによるカタルシス、逆算して序盤では絶望を与えてくれないとならない。
中でも実機を飛ばしたスピットファイアとメッサーシュミットの空中戦はコックピット内と敵影が同時に怖いくらいクリア。
実機故に一度に登場する機数がとても少ないという欠点がある筈が、それを補って余りある迫力だ。
imax70mmフィルムという最上級のフォーマットを体感できる劇場は日本にはないらしいが、一般の劇場でも十分すぎるくらいでした。

エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/

2017年8月27日 (日)

ワンダーウーマン

アマゾネス戦士の痛快な活劇かと思えば然に非ず。
キャプテンアメリカ系のともすれば正義が空回りしかねない「ヒーローとは何ぞや」を問う、よく言えば重厚な、悪く言えば重苦しい映画。
トータルでは後者。
ただ、テーマを語るにしても、キャプテンアメリカほど世界と個人のバランスがよくなくて、ワンダーウーマンが浮いてしまってるのは、彼女が「神」だから…なんだろうか。
神話的世界観の離島で隔離されて育ち現代社会のことは何も知らないような描写がある一方で、何処で覚えたんだと疑問に思う世知に長けたところもありとっ散らかっている。
等身大の人間なんだか超然たる神なんだかはっきりしなくて混乱するし、様々な一面を持つワンダーウーマン一個人を描こうとして統一感がないのだ。
この統一感のなさって、個々の描写はとてもいいのが後押ししてるのが皮肉なところ。
ワンダーウーマン自身のみならず彼女を取り巻く男達すらみな魅力的で、かつ一次大戦下の欧州の描写も最高なのに、互いが互いを打ち消しあってるのが実に勿体ない!
恋愛要素はあるものの、男と女である前に神と人間であるが故になかなか分かりあえないのは面白いし、自分の恋愛以前に神としての使命感があるから恋愛相手以外の男達との関係や距離も自然で好感が持てる。


エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/

2017年8月20日 (日)

オープンウォーター2

これ面白いね!
勧められて観て大正解。
つまらないミスから大海原に取り残された数人の男女が協力したりいがみあったり。
低予算映画が評判を呼んでシリーズ化…という「SAW」「パラノーマルアクティビティ」を思わせる制作エピソードだけでも大好物の予感ヒシヒシだが、なるほど評判になるわけだ。
実話を元にしているが、実話とその脚色(というか演出)の双方が面白いのだろう。
実話であることのメリットとして凄く生々しい。
少なくとも非実話のパニックものとして企画が提出されたら却下されていただろう。
こんなつまらない理由で取り残されるわけがない、観客に嘘くさいと思われるだろう、という理由で。
だが実話なのだ。
すぐ横にある豪華ヨット。
その横で船に上がる方法もなく立ち泳ぎしながら体力と平常心を失っていく男女。
彼等は訓練を受けているわけでもない一般人だから、注意力や決断力の欠如から気づくべきことに気づかなかったりやるべき時にやるべきことをやれなかったりする。
何よりそもそもの発端が「もし全員が生き残っていたら」(原因を作った奴以外の間で)笑い話になるであろうつまらないことだ。
"せっかく俺がセッティングしたバカンスで1人だけノリの悪いオンナがいるのがゆるせない"
正直、こういう奴は嫌いだが、気持ちは分からなくもない。
そして日本でも他者のアレルギーを甘えと断じて原因食品を与える最悪の能無しがいて場合によっては相手を死に至らしめる事件を起こしているが、こいつもその類の馬鹿なのだろうから、珍しい存在でもない。
こういうちょっと調子に乗りすぎる嫌いはあるものの普通の若者達が陥る危機だからこそ、思わずゾッとするのである。
それにしても、よくこんな実話を見つけてきたものである。
前作は「2」ほど面白くないのだが、これは元となる実話の面白さの違いであって、「1」の製作陣の責任ではない。
まさに事実は小説よりも奇なり、である。

2017年8月13日 (日)

スパイダーマン:ホームカミング

アベンジャーズ世界の一員としてのスパイダーマン。
シヴィルウォーのワンシーンから繋がっているので完全に同じ世界なのだろう。
「アメージングスパイダーマン」で「確かに面白いけど…同じことまた最初からやるの?」とモチベーションが上がらないことこの上なかったわけで、それを踏まえてまたリブートをやるなら新規性が必要だった。
それが大先輩のスタークとの絡みというのは悪くない。
叔父さんの死の責任に悩む、という本編のテーマから完全に自由なので、別のスパイダーマン像が描けるのだ。
スタークテクノロジー謹製のハイテクスパイダーマンはインターフェースもアイアンマン準拠で格好よく、だからこそそれより遙かにダサくて低性能(ていうか比べるのが失礼)の筈のハンドメイドのスーツとそれで戦うピーターが格好よく思えてくる。
今回の敵であるバルチャーは名前のとおり自由に飛行できるのだが、前述のとおりアイアンマンワールドなので飛べることの説得力が大きいし、同じく空間戦闘を得意とするスパイダーマンのアクションも映えるしで最高のチョイス。
面白いです。
それにしてもピーターのおばさんがセクシーを通り越してエロいなあw
「冷たい熱帯魚」のエロすぎる後妻がギャグギリギリだったのを思い出すぞ。
危ないところだったw
アメリカ人の年齢ってのはよく分からないよね。
あと、教育ビデオに出てくるキャプテンアメリカが、ロボコップが「2」で洗脳されて有難いお説教を垂れて子供達に小馬鹿にされるのを彷彿とさせて、なんとも苦笑を誘う。
世界観が広がった…んだろうなぁ。うん。

前半エンドロール後エピソード あり
後半エンドロール後エピソード あり

公式サイト
http://www.spiderman-movie.jp/sp/

2017年8月11日 (金)

トランスフォーマー 最後の騎士王

よくできてるなぁ、これ。
これまで以上に人間側の比重がとても大きい。
俺はこれまでずっと人間側の比重の大きいシリーズ作品を高く評価してこなかったから、そのパターンからするとかなり低く評価してもおかしくない。
にもかかわらず大満足とは!
確かにドラマでもバトルでもトランスフォーマー達の出番が少ないんだけど、世間にアンチトランスフォーマー感情の蔓延る中、家族と離れ孤独にサイバトロン達を匿うイエーガーさんに感情移入してしまったことが大きい。
これまでの人間側協力者は若者で社会的責任がなかったけど、大学生の娘まで持つイエーガーさんには失いたくないものがたくさんある。
それでも人類の友人としてサイバトロン達を信じるイエーガーさんはまさに観客の分身だ。
とは言え、トランスフォーマー達の見せ場ももちろんある。
喋るバンブルビー。
こないだピカチュウも喋ったけど、ああいう唐突さはなく自然な上にドラマにも直結しているから、より「主人公」度が高い。
さらにある変形戦闘は必見。
マックスのバルキリーも顔負けです。
メガトロンがある理由でとても識別しやすくなっているのもいい。
視点が入れ替わってもすぐにメガトロンだって分かるからストーリーも分かりやすいし、激しいアクションの最中でも状況を把握しやすい。
でも、そろそろバリケードのキャラを立ててやってほしいなぁ。
1作目でも印象的な場面が多く、今回も「来た来た!」と思わせてくれる悪のパトカーなだけに、ドラマ面でも絡んできてほしい。
黒幕として「2010」に出てきたクインテッサが女王様として登場。
クインテッサってのはもともとはクインテットから来てるのに、クイーンから来ているように解釈してるのって駄洒落?
こういう駄洒落で素直にニヤリとできるのも本編が面白いからでしょう。
つまらない映画で駄洒落やられたらハラ立つもんね。

エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://tf-movie.jp/sp/

2017年7月26日 (水)

劇場版ポケットモンスター キミに決めた

テレビ版初期エピソードのリブート。
でも面白かったですよ。
テレビ版で「ひとかげ」を捨てた奴はただのひどい奴だったけど、今回その役割を担うライバルキャラのクロスはちゃんと改心する。
で、丁寧だな、と思うのは、力でねじ伏せられただけでは改心に繋がらず、問題が悪化すらするということ。
雨降って地固まる、の雨だけ降っている状態。
力でねじ伏せられたサトシがねじ伏せ返す、それだけでは解決にはならないけど、やり返さないというのも違う。
大人になってもケースバイケースで正解のない問題に安易な回答を出さない姿勢はとても誠実だと思います。
でも、どうしても気になる点もあって、…あの奇跡になんの説明もないよね?
ポケモン世界のリアルはポケモンバトルの余波で人間に被害が出ることは殆どない(ここらへんガルパンと同じ)のが根底にあると思うので、そもそもああいうピンチを描くのがおかしいというか露悪的に思えるよなぁ…。

エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://www.pokemon-movie.jp/

2017年7月22日 (土)

メアリと魔女の花

不気味の谷ってゲーム以外でもあるんだな、と。
なまじ宮崎アニメに似せようとしてて、でもやっぱり違う絵柄がどうにもイズくて。
これはガンダムUCでも感じたことで、こういうのはイタコアニメとでも呼ぶべきなんだろうなぁ。
御都合主義な部分も目立つ。
なんで知ってるの?
なんで戻ってくるの?
なんで同じ救済策を2回やるの?
ツッコミどころが多い。
それに悪い魔法使いどもは懲らしめられて当然だけど、真面目に魔法の勉強をしている生徒達にはなんの責任もないのでは?
ていうか生徒達の存在感ないよ。
でも、これらの不満は枝葉で、最大の不満は、最も期待していた展開にならなかったってのが大きい。
メアリがピーターを救う決意を固めた時、すごく燃えたんですよ。
だってメアリは色々な呪文を使える状況にありますよね?
それらを駆使してピーターを救う展開を期待しますよね?
なのに…。
悪くないじゃん、と思いながら観ていたら、本当に悪くないで終わってしまいましたとさ。

エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://www.maryflower.jp/sp/

2017年6月 8日 (木)

美女と野獣(実写映画)

エマ・ワトソン主演による実写映画版。
たいへんなハイクオリティだが想像を上回る部分は何もなく、新たな感動や現代の世相を反映した新解釈なんぞを期待すると肩透かしを食う。
アニメ版を実写にコンバートするにあたっての自然さは相当に高レベルだと思うが、それ故にちょっとしたアラが目立って、例えば歌に入るタイミングやシーンとの組み合わせにちょっと苦しいところがある。
特に冒頭のベルが早朝の村を歩き回る部分は例えるなら「マップが切り替わる度に頻繁にロードが起こるゲーム」みたい。
このシーンには他にも問題があって、ベルが怠け者に見えるんだよね。
これは本編全般でもそうで、なまじ実写なせいでみんなが働いている時に何もしていないように見えちゃう場面がチラホラ。
アニメだと上手く誤魔化してくれてるんだけどね。
ベルが野獣を「最初は怖がっている」理由も説得力が乏しい。
王子の心って外見が野獣になっても人間のままなんだよな。
ガストンですら決定的なクズ行為に至るまではちょっと頭の弱いむしろ気のいい人に見えるわけで、アニメーションの持つ豊かな表情や動きこそが、原作が長年、愛されてきた理由であることを改めて感じさせてくれる。
ただ、城と村双方のビジュアルワークは素晴らしい。
小さな村の生活感に関してどんな妄想も受け入れてくれる余裕があって、色々とツッコミをいれていくのも楽しい。

公式サイト

エンドロール後エピソード なし

2017年6月 5日 (月)

LOGAN ローガン

仲間のミュータントが殆どいなくなった近未来。
もはや若くないウルヴァリンの年老いたプロフェッサーXと爪を持つ少女・ローラを連れての逃避行。
いや、ウルヴァリンではなく一人の男・ローガンとして。
アダマンチウムの爪が悪漢どもを次々と切り裂く!
ウルヴァリンが能力の殆どを失ったという設定は、クズどもに対してオーバーキルじゃないよという理由付けでもあるんで、われわれはクズが成敗されるのを見て快哉を叫べばいい。
ちょうどブラックエンジェルスの悪役が主人公の私刑行為を正当なものと見せるために悪魔同然のゴミクズカスに描かれているのと同様に、攫ってきた子供に非人道的なミュータント手術と戦闘訓練と逃亡者への凄惨な報復を行う悪徳企業の連中は殺されて当然のクズ揃い!
あんな連中を殺してもウルヴァリンは少しも悪い筈がないので、観客としては人間のクズが肉でできたクズになる様子に実にスカッとします。
ぶっ殺されるクズどもの中には直前までなんでそんなに自信満々なのか不明な奴もいて、ますます爽快感を増してくれます。
ここらへん北斗の拳好きにはたまりませんね。
とは言え、それは銀幕の外側から観ているわれわれの無責任な視点。
ミュータントとして忌み嫌われてきた人生を振り返り殺伐としているウルヴァリンの苦悩する様子は胸を打ちます。
普通の人間のようには家族を持つ幸せを持てぬミュータント達にとって、X-MENは擬似家族でしたが、(恋愛面で報われないこともあって)ウルヴァリンはその中でも孤独だった。
プロフェッサーX、ローラとの「家族」の旅は、迫害から逃れる旅である以上に、自らの人生の意味を問いかける旅でもあるのです。
色々と救いのない映画ではありますが、同時にどんな状況でも微かな希望はあるのだと思わせてくれる映画でもありました。

エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/

2017年6月 4日 (日)

花戦さ

面白かった。
すごくツマラなそうなのに。
面白かった。
しかし、そもそもなぜつまらなそうだったのか。
池坊専好が花を以って太閤秀吉を諌めるという内容。
それを聞くと、いかにも「利休ブーム」の後追いっぽいし、結末は「よくぞ傾向いたものよ、大儀であった!」なんだろうなと想像がつく。
で、確かにそれから大きく離れているわけではないのだが、丁寧な作りでジワジワと面白いのである。
野村萬斎は予告映えしない俳優だと思う。
いや、予告映えを優先してシーンを選ぶと予告としてこれはどうかという内容になるというか。
「のぼうの城」でも、予告編の時はやたらオーバーアクションでわざとらしく見えたものの、実際に見るとその奇矯に思える言動には意味がある役だった。
本作でもそうであり、要所要所の決め科白を並べると「何を大袈裟な」という感じになるが、実際にはその繋がりは極めて自然である。
そして、その奇矯な人物像も、人の上に立つより本当はずっと花を活けていたい専好の気持ちとなって伝わってくる。
幼馴染の商人が本当に「いいやつ」だった。
ヒロインの危機よりこっちの危機を話の山場にしてほしかったかな。

エンドロール後エピソード なし

公式サイト
http://www.hanaikusa.jp/

それはそうと、劇中ではたびたび数年単位で時間経過するのに若いキャラや子供キャラでさえあまり年月の経過を感じさせないのはどうなんだろう。
そこだけちょっと雑な気がするなあ。