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2018年5月30日 (水)

厭な小説

読了。
リアルタイムで第1話「厭な子供」だけ読んだことがあるこの作品集。
アンソロジーか何かに収録されてたんじゃなかったかな。
そしたら実は続きがあって、通して読んだらこんなに面白いとは。
やはり作風を勝手に決めつけてはいけないな。
京極夏彦の京極堂シリーズの大ファンだった俺は、同じ京極作品でありながら根底となる世界観の異なる「厭な子供」に反発した。
この世に妖怪などいない。しかし単に嘘や迷信では片付けられない。それらが信じられてきた歴史的背景が彼らを「実在」させてきたのだ、という京極堂シリーズの世界観は若き日の俺を魅了し、それとは逆に実際に妖怪が存在する「厭な子供」に裏切られた気がしたというわけ。
素直に読めるようになるためには俺自身が丸くなる必要があったわけだ。
体形のことじゃないよ。
悪趣味で不条理な短編の数々。
極めて論理的に現実世界の文法で奇怪な出来事に対峙しようとする語り手達を、嘲笑うかのように蹂躙していく様子は、過去作の世界観の破壊でもあり、京極ファンにとって快感ですらある。
だから、本当はファンであるほど読むべき小説なのだろう。
ところで一番の嫌われ役がなんの制裁も受けていない。
これこそ正に「厭な」部分、というトートロジーなのか、それとも彼以外はみな狂ってしまっているのか。
そう考えると、異口同音に理路整然たる常識人ぶりを露わにする各部の語り手たちのトークもまた不気味に思えてくる…。

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コメント

なまじデビュー作のシリーズが傑作だったもんですから、どうしてもそれ以外を虚心に楽しむことができない、ってありますよね。
京極堂シリーズはなんだか低迷している気がします。
今のところ最新作とその一つ前の陰摩羅鬼や邪魅なんかストーリーをあまり覚えていませんし…。

この本、持ってます・・・
だけど読んでません(^-^;

自分も同じで、京極堂シリーズが大好きなので、他のシリーズって読んでなかったりします。
今度読んでみます。

京極堂シリーズの新刊、出ませんね。

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