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2017年9月 2日 (土)

カリフォルニアの炎

竜頭蛇尾。
とは言え全長の9割が竜なのだ。
だから読後感にあまりガッカリがない。
なんで?こうなったんだ?という気持ちの方が強い。
この作品を貶したくない悪く思いたくないという気持ちに突き動かされるほどに、俺はこの本が好きなのだ。
終盤以外は。
凄腕で正義感が強く気持ちのいい火災保険調査員ジャック・ウェイド。
しかし、それ故に罠に落ちる。
ランバ・ラルは「正確な射撃はそれ故に予測し易い」と言ったが、それを敷衍すると優秀すぎて逆に便利な駒として動かされると言ったところだろうか。
この追い詰めたつもりが追い詰められる件は説得力があり劇中で最も手に汗を握る緻密なストーリーテリングと言えよう。
だが終盤でいきなり敵の規模が大きくなり手に負えなくなる。
荒い。
それまでの展開がどんなに荒くても無理やり起動修正させられる類の力技だ。
そんな必要もないのに。
荒い展開を荒く軌道修正している作品ならただ呆れればいい。
しかし緻密な展開をわざわざ荒く軌道を変える理由は?
思えばウィンズロウ作品にはこういう傾向がある。
大好きなニール・ケアリーの2作目も、個人は国家には絶対に勝てないという作者の確固たる意思があって、それがカタルシスを欠いていた。
作者自身が調査会社の調査員ということから来るリアリティを重視する作風故なのか、この人のミステリは中くらいの規模の悪党を退治する時に最も筆が冴え渡るように思う。

カドカワオンラインの該当ページ
http://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g200006000146/

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