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2017年9月11日 (月)

コイルズ

読了。
本棚に眠っていたゼラズニイのSF。
思春期に何冊か読んで、特に「ディルヴィシュ」はムアコック作品のヒロイックな部分を更に突き詰めたようなダークヒーローでお気に入りだったんだけど、本作のドナルドはそれに加えて電脳空間を自由に旅し自由に操る能力もあり、異様に頼もしい。
セイバーヘーゲンとの共作だが、頭脳戦闘はゼラズニイが、肉体戦闘はセイバーヘーゲンが担当したのではないか。
はじめのうちは頭脳派と思っていたら肉体的にも凄まじい。
執筆された1982年という年代を思うと、寺沢武一「ゴクウ」の元ネタかも知れない。
まぁ、コンピューターネットワークが実現し得る未来が具体的に想像でき始めた頃だから、どうしても似てしまうのは仕方ない。
そのコンピュータ関連描写は、今のハリウッド映画で相棒やチームの一員のスーパーハッカーがやってることの先駆けだ。
では、今になって読む価値はないのかと言えばそんなことはない。
特筆すべきは、現実世界と電脳世界を、現在と過去の回想を、行ったり来たりするにも関わらず、全く混乱しないということだ。
これはこの手の作品ではとても珍しいことで、如何にエピソードの配置が上手いかの証明となっている。
そして、それは主人公がどんなに電脳世界で狂人が見るような光景を見せられても正気を保つことの何よりの説得力となっている。

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コメント

ディルビシュは『エルリックのようなダークヒーローがもっと他にいないかなあ』と思っていたところにストレートに飛び込んできましたが、鋼の馬ブラックとのバディっぷりとか、野獣に変えられた勇者が誇りのために自害するとか、信者が一人しかいなくなった惨めな神とか、唸らされる熱い展開が多かったですよね。
もっと続いてほしかった…

ゼラズニイはディルビシュしか読んでませんが、着眼点の良い作家だという記憶があります。
私も積んでる小説がたくさんあるので、消化したい所です。

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