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2017年4月17日 (月)

ビブリア古書堂の事件手帖7〜栞子さんと果てない舞台〜

これは傑作!
最終巻。
読後感がよくなかった前巻が嘘のように天網恢々疎にして漏らさず。
単独の巻としても面白く、シリーズを通した謎にも納得の行く結末が用意される興奮の一冊だ。
そもそも前巻の読後感が悪かったのは、シリーズ終盤になって久我山尚大という巨悪の故人の名前が浮上して来て、彼を取り巻く人間模様も後付けのように感じたから。
正直な話、栞子の母であり古書販売業版海原雄山とでも言うべき怪物、智恵子が家族を捨ててまで追い求めている一冊、というのも、実は深く考えてなくて後付けなんじゃないかと高を括っていた。
そしたら然に非ず!
いや、最初から考えていようが後付けだろうが関係ない!
例えばものすごい価値の珍しい古本が出てきても、それだけだったら物足りなさが残ったことだろう。
ふーん。そんな本があったのか。勉強になったよ。程度の知的好奇心を満たせたというクールな反応だったろう。
だが俺は興奮している。
ロジックと感情の両輪が見事なハーモニーを奏でた時、俺の快楽中枢は激しく擽られたのである。
俺、こういうのに弱いのよ。
もしかしたら前作の唐突な陰鬱さも、このための仕込みだったのかも知れない。
…まぁ、流石に考えすぎだろうけど。
思えばこのシリーズを読んできて幾度か
…たかが本のことで?
そう思うことは多かった。
俺自身、書痴の端くれとは言え、文学館にも文学碑にも全く興味がない即物的な人間なので、書かれている物語自体でなら十分すぎるくらいあり得る「人生そのものへの影響」が、初版がどうだ装丁がどうだと言った「枝葉」でも起こり得るというのは嘘くさく感じられたのだ。
だが一方でその問いに対する答えも俺は分かっていた。
本を読むということは体験で、
体験は人を縛り動かす、
その体験が本というマテリアルと結びついているとしたら…?
そういう着地点だろうとうすうす分かっていて、そのとおりだったことがこれほどに嬉しいとは!
まさに書痴のみなさんに捧げられている本である。

公式サイト
http://biblia.jp/works/

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