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2017年3月28日 (火)

あなたは今どこにいますか

毎週木曜日のヤングジャンプで楽しみにしている藤崎版銀英伝。
言わずとしれたSF大作「銀河英雄伝説」をフジリューこと藤崎竜がコミカライズしたものだ。
現在はアスターテで同盟が(いつもの)敗北を喫し、ハイネセンでその戦没者慰霊式典が行われているところ。
演説するトリューニヒト国防委員長の前にジェシカ・エドワーズが近づいていくところで終わった。
と言うことはあの名台詞が出るのだろう。
曰く
「あなたは今どこにいますか」
婚約者を失ったジェシカが主戦論を説く国防委員長に、お前の家族は戦場に出ていないじゃないか、そんなに戦争を煽るならお前が行けという趣旨の糾弾だ。
この台詞、タイミングが抜群で、実に考えさせられるのだ。
だって、もし他のタイミングで発せられていたら、あまり人の心を打つ言葉ではない。
シビリアンコントロール的に言って国防委員長が前線に出るわけにはいかないし、そもそも帝国軍は侵略者で彼等に捕まると民間人でも思想矯正を名目とした強制奴隷労働なのだから。
しかし、文民統制の本来の役割である軍隊の暴走の防止を超えて文民が恣意的に軍事行動を起こせるようになっている本末転倒な同盟の状況と、まさに婚約者を失ったばかりというジェシカの心理状態ゆえにストライクに胸を打つ。
実際、式典の直後にはジェシカはヤンに「黙って悲しみに耐えている遺族が殆どだろうに」と己が感情的になってしまったことを恥じている。
普段ならあのような行動には出ない聡明な女性なのだろう。
そしてその後、彼女は反戦運動に身を投じその過程で短い生涯を終えるのだが、もし生きていてハイネセンに帝国軍が迫ってくるという状況でも同じことを言っていたかどうかは分からない。
もしその状況でも発言が変わらなければ、それはあまりに能天気で共感を呼ばない発言だろう。
しかし聡明な彼女なら国家存亡の危機には臨機応変に対処するような気がする。
…それとも立場があるから発言を変えられなかっただろうか?
何れにしても思うのは、どんな状況下でも変わらず名言である言葉も逆に暴言や妄言である言葉もないということだ。
そのことに思い至らせてくれた「あなたは今どこにいますか」は忘れられない台詞だ。

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