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2016年8月27日 (土)

「自殺島」最終回

ヤングアニマル誌の長期連載「自殺島」が終わった。
足かけ8年。
島に連れられてきた当初は生きる目的を見失い次々と仲間が死んでいく中で暗い未来に怯えるだけだった彼等も、見違えるように逞しくなった。
彼等と別れるのが寂しい。
作者の森恒二の連載をやめたくない気持ちが湧き上がってきた気持ちがよく分かる。
これほど綺麗に完結しているからわがままな気持ちなのは分かるが「去り難い」のだ。
連続自殺未遂者が棄民として捨てられ出ることをゆるされない孤島「自殺島」。
そこで繰り広げられるサバイバルがこの漫画の骨子だ。
舞台設定はバトルロワイアルなどの殺し合いものに似ている。
実際、農耕や牧畜で生きるセイ達と享楽に耽るサワダ一派は敵対し、終盤では集落毎の全面戦争に発展する。
だが戦争はあくまで生きるための手段であって目的ではない。
特筆すべきは戦う勇気を存分に描いた上でそれを上回る勇気として戦いをやめる勇気を描いたことだ。
戦いをやめるということは相手を信じるということだ。
愛する者や守りたい者が危険に晒されかねない状態で相手を信じることは難しい。
そこで葛藤がないのはただの無責任であり、決めた後でも本当にこれでよかったのかと思い悩むものだ。
しかし、それでも決断しなければ先に進まない。
そうした決断を繰り返すことと、セイを始めとする未遂者達が生きる力を取り戻していく過程が軌を一にしていることこそ、この漫画のテーマなのだろう。
思えば、恐怖で他人を支配するサワダも悪意ある言葉で人を殺すカイも実は弱さを持つ存在として描かれているが、2人に共通するのは「信念」を「勢い」を持って貫くことで決断から逃げていた点だ。
生命に感謝すること、自然の営みを感じること、様々な生きるこということの意味が語られてきた本作は、悩む者たちが悩まない者たちに打ち克つ話だった。
日頃、色々と思い悩むわれわれの生き方も決して無駄じゃない、とこの漫画は言ってくれているようだ。

ヤングアニマル公式サイトの該当ページ
http://www.younganimal.com/jisatsutou/

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